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この病気は、γ(ガンマ)Cという遺伝子の変異で起きる免疫不全症である。
Tリンパ球が増えるのに不可欠なタンパク質であるγCが欠けると、Tリンパ球ができなくなる。
そのため、患者の血液を調べると、T細胞がゼロなのがこの病気の特徴とされる。
フランスのグループは、さまざまな血液細胞を次々と生みだす能力(自己複製能と多分化能)をもつ「血液幹細胞」を患者の骨髄から分離して、レトロウイルスベクターを使ってγCというタンパク質をつくる遺伝子を組み込み、γCを発現させようとした。
その結果、遺伝子治療を受けた10人中9人が治って自宅に帰ることができた。
この治療の前後から、ADA欠損症でも血液幹細胞に遺伝子を入れる方法ができるのではないかと考え、北大のほか、アメリカのNIH、イタリアの計3チームが異なる方法で準備を進めていた。
「予想以上の効果が得られた。
副作用もなかった。」と、S山教授は評価する。
ただし、少しずつではあるが、ADA遺伝子をもっている細胞の数は減少傾向にあるのがここ1、2年の状況だと一方、イタリアでは酵素補充療法をしなかった。
骨髄移植のときの前処置にならって、化学療法剤であらかじめ患者の血液幹細胞を減らしておいてから、遺伝子を導入した幹細胞を戻す方法で、4例とも成功した。
北大でも02年9月、最初に遺伝子治療をした男の子の治療をはじめようとしていたが、そこへ、フランスの遺伝子治療で成功した9例中2例で、治療後3年たって白血病を発症したというたと結論した。
このため、北大と、XSCIDの遺伝子治療を準備していた東北大学でも、幹細胞に遺伝子を入れたことで何が起きたのかを見極めるまでは治療を中断することになった。
その後、白血病になった患者では、発がんに関係する遺伝子のひとつであるMO2がある場所のそばに遺伝子が導入されていて、つねにMO2を発現しつづけていたことがわかった。
「遺伝子を組みこんだことで、MO遺伝子にスイッチが入ってしまったんです。
『遺伝子挿入による変異の誘導』といって、レトロウイルスベクターが血液幹細胞のレベルから、γCもMOも発現し続けるようにしたということです」γCはT細胞を増殖させるためのシグナルを伝えるタンパク質なので、常に働いていれば細胞増殖が続く危険性がある。
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